経理の請求書処理・仕訳の下書き・月次集計を、AIを使った仕組みとして自動化するかどうかは、次の4点で決めます。
- 選択肢は3つ:研修で担当者がAIツールを使えるようにする、市販の会計ソフトやAI-OCRの機能を使う、仕組みとして開発する。開発が向くのは、自社独自のルールや、システムの間の手作業の転記が多い場合です
- 任せる範囲を先に決める:収集・保存・読み取り・照合・仕訳の下書き・集計は仕組みに任せやすい作業です。勘定科目の最終判断・承認・支払いの実行は担当者に残します
- 法令の前提を工程に入れる:メールなどで受け取った請求書のデータは、電子のまま保存することが求められています(電子帳簿保存法)。インボイスの記載事項の確認も、読み取りの工程に組み込めます。自社への当てはめは顧問税理士に確認します
- 費用は範囲で決まる:当社では1つの業務ならミニ開発300,000円〜、仕組みごと作るならAI組込み開発800,000円〜(いずれも税抜)。範囲は要件整理メモで合意してから見積もります
この記事は、経理・財務の担当者、管理部門の責任者、経営者が、「請求書処理・仕訳・月次集計の作業を、AIを使って仕組みとして自動化するか」「頼むなら何をどこまで、いくらで頼むか」を決めるための記事です。担当者がChatGPTなどを日々の業務で使いこなす方法は、経理職のAI活用12選|仕訳・請求書処理・予実管理や経理・財務部門の生成AI研修|仕訳確認・月次資料・監査対応を効率化で扱っています。この記事は、使い方を覚えるより「手作業そのものを仕組みにして減らしたい」場合の判断に絞ります。
当社もAI開発を提供している会社です。そのため、当社の料金と、当社が合わないケースも同じ物差しで載せています。
3つの選択肢を比べる
経理の手作業を減らす方法は、大きく3つあります。どれが合うかは、作業の件数と、自社独自のルールの多さで決まります。
| 選択肢 | 向く場合 | 費用の考え方 | 社内に要るもの |
|---|---|---|---|
| 研修で、担当者がAIツールを使えるようにする | 作業が人ごと・月ごとに違う。担当者が下書きや確認を速くしたい | 研修の費用と、ツールの利用料(使う人数分) | 使う人の時間、AIに入力してよい情報のルール |
| 市販の会計ソフト・AI-OCRの機能を使う | 書式や取引先ごとのルールが標準的で、製品の機能に今の手順を合わせられる | 製品の利用料(件数や利用者数で変わる製品が多い)と、設定の手間 | 設定と運用ルールを決める担当、製品に合わせて手順を変える判断 |
| 仕組みとして開発する | 取引先や案件ごとの割り当てのルールが多い。販売管理・会計ソフト・Excelの間で手で転記している。確認の流れを自社の承認に合わせたい | 初めの開発費と、運用中の利用料・保守 | 要件を決める担当、確認する人、元データと過去の仕訳 |
3つは、どれか1つを選ぶものではありません。よくある組み合わせは、会計ソフトはそのまま使い、その手前の「集める・読む・照合する・下書きする」部分と、会計ソフトの外で回しているExcelの集計だけを仕組みにする形です。会計ソフトを置き換える開発から考える必要はありません。
市販のツールで足りるかの見分け方は業務自動化ツールの選び方|4分類で判断に、AI-OCRの読み取り精度と確認の手間の考え方はAI-OCR導入の判断|精度と確認工数にまとめています。
研修から始めるか、開発から始めるか
- 研修から始める:作業の種類が多く、件数がまとまっていない。まず担当者がAIで何を速くできるかを確かめたい
- 開発から始める:同じ手順の作業が毎月まとまった件数ある。担当者が替わっても同じ処理を同じ品質で回したい
研修で使いどころを見極めてから開発に進むと、要件のずれが起きにくくなります。当社のAI研修は、集合研修(ライト・スタンダード)が5名から、伴走(個人)は1名から受けられます。内容と料金はAI研修のページをご覧ください。
仕組みに任せる作業と、担当者に残す判断
自動化の範囲は、作業ごとに「仕組みに任せる部分」と「担当者に残す判断」に分けて決めます。経理では、次の線引きが基本になります。
| 作業 | 仕組みに任せやすい部分 | 担当者に残す判断 |
|---|---|---|
| 請求書の受け取りと保存 | メールに添付されたPDFを集め、日付・金額・取引先で探せる名前と索引で保存する | 届いていない請求書の確認、紙で届いた分の扱い |
| 読み取り | 取引先・登録番号・日付・税率ごとの金額・品目を読み取り、自信の低い項目に印を付ける | 印が付いた項目の確認(導入の初めは、印のない分も抜き取りで確認) |
| 照合 | 登録番号の形式と公表データとの照合、発注や検収のデータとの金額の突き合わせ | 差異の原因の確認と、取引先への問い合わせ |
| 仕訳の下書き | 過去の仕訳と取引先ごとのルールから、勘定科目・部門・税区分の候補を作る | 勘定科目の最終判断、新しい取引先や例外の扱い |
| 承認と支払い | 支払予定表の作成、承認者への依頼 | 承認、支払いの実行 |
| 月次集計 | 会計ソフト・販売管理・勤怠などからのデータの収集と、部門別・予実の表の下書き | 数字の説明、異常値の原因の判断、経営への報告 |
| 決算と申告 | 対象にしない | 経理の担当者と顧問税理士 |
線をこう引くのは、AIの出力は誤りを含む前提で設計するためです。AIは自信が高いまま読み誤ることがあり、決めた条件に掛からない誤りもあります。確認をなくせば誤りがそのまま会計ソフトに入り、確認の仕方によって減らせる手間も変わります。そこで、確認は次の形にします。
- 読み取りの自信が低い項目や、照合で差異が出たものを「要確認」として優先して確認する
- 導入の初めは、要確認にならなかったものも抜き取りで確かめ、見逃していた誤りの件数を記録する
- その記録を見ながら、要確認にする条件と、抜き取りで確かめる範囲を調整する
- 仕訳の確定と承認は、どの場合も担当者が行う
もう1つの原則は、計算そのものを生成AIにさせないことです。生成AIに任せるのは、書式がばらばらな請求書から項目を読み取る部分や、候補を選ぶ部分です。合計や部門別の集計は、表計算やデータベースの通常の処理で行います。そのほうが検証しやすく、同じ入力からは同じ結果が出ます。
経理の自動化で外せない前提:電子帳簿保存法とインボイス制度
経理の自動化では、法令が決めている保存や記載の要件が、仕組みの工程にそのまま関わります。ここでは国税庁の資料から、設計に関わる要点だけを挙げます(確認日:2026-10-05)。法令の解釈や自社への当てはめは、顧問税理士や所轄の税務署に確認してください。
受け取った請求書のデータは、電子のまま保存する
国税庁は、書面でやりとりしていれば保存が必要な書類(注文書・契約書・送り状・領収書・見積書・請求書など)に相当する電子取引データを受け取ったり渡したりした場合、そのデータを電子で保存することが義務付けられているとしています(出典1)。電子メールの添付ファイルでのやりとりも、電子取引に含まれます(出典2)。
原則の保存のルールは次の3つです(出典1)。
- 改ざん防止の措置:タイムスタンプが付いたデータの受け取り、受け取ったデータへのタイムスタンプの付与、訂正・削除の履歴が残るシステムでの授受と保存、改ざん防止の事務処理規程の策定・運用・備付けの、いずれか
- 確認の設備:保存したデータを確認するためのディスプレイやプリンタ等の備付け
- 検索:「日付・金額・取引先」の3つで検索できること。加えて、「日付または金額で範囲を指定した検索と、2つの要素を組み合わせた検索ができること」か、「税務調査等の際に、電子取引データのダウンロードの求めに応じられること」のどちらかが必要です。検索は、表計算ソフトで索引簿を作る方法や、日付・金額・取引先の順に付けた名前のファイルを特定のフォルダに集める方法でも満たせるとされています
検索の要件が要らない場合もあります。基準期間(2年(期)前)の売上高が5,000万円以下の方などは、電子取引データのダウンロードの求めに応じられるようにしていれば、検索の要件を満たす必要はないとされています。また、原則のルールに沿って保存できなかったことに所轄税務署長が相当の理由があると認め、税務調査の際にデータのダウンロードと、印刷した書面の提示・提出の求めに応じられる場合の猶予措置もあります(いずれも出典1)。自社がどれに当たるかは、顧問税理士に確認してください。
設計への影響:読み取って会計ソフトに入れたらPDFを消す、という作りにはできません。保存先・ファイル名の付け方・索引の表を自動で作る工程は、むしろ仕組みに任せやすい部分です。改ざん防止にどの措置を取るか(事務処理規程か、システムか)は、顧問税理士と決めてください。紙で届いた請求書をスキャンして保存する場合は、スキャナ保存という別の要件があります。読み取りの解像度などの要件はAI-OCR導入の判断|精度と確認工数で扱っています。
インボイスの記載事項は、読み取りと確認の項目になる
消費税の仕入税額控除を受けるには、原則として、売手から交付されたインボイスの保存が必要です(出典3)。インボイスの記載事項は次の6つで、請求書に限らず、領収書や納品書など書類の名称を問いません(出典3)。
- インボイスの交付先である相手方の氏名または名称(受け取る側から見ると自社)
- 売手の氏名または名称と登録番号
- 取引年月日
- 取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
- 税率ごとに区分した対価の額と適用税率
- 税率ごとの消費税額等
小売業・飲食店業・タクシー業などが交付する簡易インボイスは、宛先を省略でき、税率か税額のどちらか一方の記載でよいとされています(出典3)。登録番号は「T」と数字13桁で構成されます(出典4)。国税庁の公表サイトにはWeb-API機能があり、利用者のシステムから登録番号を指定して、公表されている情報を取得できます。利用には利用規約への同意とアプリケーションID(発行は無料)が必要で、インボイス用のアプリケーションIDは国税庁の審査を経て発行されます(出典5)。
設計への影響:6つの記載事項を読み取りの項目にし、欠けている項目や登録番号の照合結果を確認の項目にします。簡易インボイスは宛先がなくても不備ではないため、「宛先が空欄なら要確認にする」を一律の条件にすると、確認に回る件数が無駄に増えます。登録番号の照合をWeb-APIで組み込む場合は、アプリケーションIDの申請の時間も計画に入れます。
自社向けに作るシステムは、要件に合うかを事前に相談できる
国税庁は、受託開発や自社開発のシステムを対象に、電子帳簿保存法の要件に合うかの事前相談の窓口を、所轄の税務署・国税局等に設けています(出典6)。保存の工程まで仕組みに含める場合は、設計が固まった段階で相談の要否を顧問税理士と決めておくと安心です。
なお、令和7年度の税制改正で、請求書等のデジタルデータを自動で保存し、帳簿に自動連携する仕組みに対応した制度が新設されました。要点は次のとおりです(出典7)。
- 措置の内容:対象の電子取引データに関連する隠蔽・仮装行為を、重加算税の10%加重の適用対象から除外するなど。重加算税の加重の適用除外は、令和9年(2027年)1月1日以後に法定申告期限が到来する国税が対象です
- 対象のシステム:国税庁長官が定める基準に適合するシステムを使う必要があります。基準に適合するのは、デジタル庁が管理する仕様で送受信されたデジタルインボイス(「Invoice JP PINT」または「JP Self-Billing」)か、預貯金口座の決済データについて、新設の要件どおりに保存できる機能を持つシステムです。新設の要件は、訂正削除の履歴が残る(または訂正削除ができない)システムで送受信と保存を行うこと、データの金額を訂正削除したうえで帳簿に記録できないこと、データと帳簿の関連を相互に確認できること、の3つです
- 手続き:あらかじめ届出書の提出が必要です
メールで届いたPDFの請求書を読み取り、仕訳を自動で作るだけでは、この措置の対象になるとは限りません。この記事で扱う自動化は、この措置の適用を前提にしていません。使うかどうかは、会計ソフト側の対応とあわせて顧問税理士に確認してください。
請求書処理・仕訳の下書き・月次集計を仕組みにした形
請求書処理:集める・読む・照合するまで
請求書用のメールアドレスに届いたPDFを自動で集め、決めたルールの名前で保存し、索引の表に1行足します。次に、取引先・登録番号・日付・税率ごとの金額を読み取り、発注や検収のデータ、公表サイトの登録情報と照合します。担当者は、読み取りに自信がない項目と、照合で差異が出た請求書を優先して確認し、導入の初めはそれ以外の請求書も抜き取りで確かめます。読み取り結果の一覧から元のPDFをすぐ開けるようにしておくと、確認の時間が短くなります。
仕訳の下書き:候補と根拠を一緒に出す
読み取った請求書や、銀行・カードの明細から、勘定科目・部門・税区分の候補を作ります。経理の担当者の頭の中にある「この取引先のこの品目は、この科目・この部門」というルールを、表として書き出して仕組みに持たせるのが中心の作業です。候補には「どの過去の仕訳、どのルールに当たったか」を一緒に出し、担当者が確定した内容と修正した内容を記録して、ルールの見直しに使います。会計ソフトへは、その製品が受け付ける取込みの形式(CSVなど)で渡すのが一般的です。
月次集計:集めて表にする部分だけを自動にする
会計ソフト・販売管理・勤怠など、複数のシステムからデータを集め、部門別の損益や予算と実績の比較表の下書きを作ります。毎月同じ手順でExcelを組み替えている作業ほど、仕組みにしやすい対象です。集計の数字には「どのデータの、どの期間から作ったか」を残し、数字が合わないときに原因をたどれるようにします。数字の意味の説明と、経営への報告は担当者の仕事として残します。
費用の考え方と当社の料金
当社のAI開発の料金は次のとおりです(税抜)。
| プラン | 料金 | 初期費用・契約条件 | 含まれるもの |
|---|---|---|---|
| 業務自動化ミニ開発 | ¥300,000〜(税抜・単発) | — | 1業務の自動化ツールを設計・開発/例: 見積書生成・日報集計・レポート自動作成/要件整理から納品まで2〜4週間/納品後1ヶ月の動作フォロー付き |
| AI組込み開発おすすめ | ¥800,000〜(税抜・要件見積) | — | 社内チャットボット・RAG(社内ナレッジAI)/Claude・GPT・Gemini API統合/業務アプリ・ダッシュボード開発/開発期間1〜3ヶ月・保守プランは別途 |
| AI開発顧問 | ¥300,000/ 月(税抜) | 契約期間 最低3ヶ月(以降1ヶ月単位) 最低期間の総額 ¥900,000(¥300,000×3ヶ月) | Claude Code環境構築・開発伴走/社内メンバーの内製化支援/月次の開発ロードマップ設計/チャット相談・コードレビュー |
経理の自動化でどのプランに当たるかは、範囲で決まります。対象が1つの業務に収まるなら業務自動化ミニ開発、複数の業務やシステムをまたいで、業務アプリやダッシュボードとして仕組みごと作るならAI組込み開発です。どちらに当たるかは、要件整理メモで範囲を合意してから見積もります。お見積もりの合意後に追加で請求することはなく、仕様を足す場合は事前に見積もり直します。社内の担当者に改修を引き継ぎたい場合は、AI開発顧問で伴走します。
費用を比べるときは、開発費だけでなく、運用中にかかる生成AIのAPIや市販ソフトの利用料と、保守を含めた総額で比べてください。回収の見込みは、今の作業時間(月の件数×1件あたりの時間)を起点に考えます。社内の稟議に出す数字の組み立て方はAI開発の予算と稟議|通る数字の組み立て方に、外注の費用相場は業務自動化の外注費用はいくら?相場と依頼手順5ステップにまとめています。
進め方:要件整理から運用と引き継ぎまで
- 要件整理:対象の作業を工程に分け、何を自動にし、何を手作業に残すかを決めます。当社は要件整理メモに、目的と対象業務、今の手順と1件あたりの所要時間、自動化する範囲と手作業に残す範囲、使うデータ・システムとアクセス権限、入力データの扱い(学習に使われない設定・機密情報のマスキング)、開発範囲・納期の目安・お見積もり、仕様追加の扱いをまとめ、範囲を合意してから見積もります
- 小さく作る:最初は1つの業務、扱いやすい取引先の範囲から始めます。開発中は週次デモで、動く状態のものを毎週確認します。仮データでの流れ、実際の業務データでの出力、エラー時の動きと権限の設定、運用手順書に沿った操作の順に確かめます
- 確認の手順を決める:どの条件で人の確認に回すか、誰が確定し誰が承認するか、修正した件数をどう記録するかを決め、運用手順書に書きます。保存に事務処理規程を使う場合は、規程の手順と仕組みの工程を一致させます
- 運用と引き継ぎ:納品時に、日常の使い方、入力データのルール、よくあるエラーと一次対応、認証情報・権限の管理、改修を頼むときの連絡先を書いた運用手順書を渡します。ミニ開発には納品後1ヶ月の動作フォローが付きます。効果は、要件整理メモに記録した導入前の時間と、導入後の時間を同じ数え方で比べて確かめます
週次デモと運用手順書は、ミニ開発とAI組込み開発の範囲です。AI開発顧問(月額)は、Claude Code環境の構築、開発の伴走と社内メンバーの内製化の支援、月次の開発ロードマップ、チャットでの相談とコードレビューが中心で、週次デモと運用手順書は含みません。
当社も、自社サイト(500ページ超・2026年9月時点)をAIで開発・運用するなかで、同じ組み方をしています。公開の前に料金の表記やリンクを機械で検査し、内容の正しさは人が読んで確かめる手順です。機械の検査は人の確認を置き換えるものではなく、人が先に見るべき箇所を示すものとして使っています。経理の仕組みでも、要確認にする条件と、人が確かめる範囲を先に決めておきます。
進めるときによくある失敗
- 原本のデータを消す設計にする:読み取りと入力だけを自動にして、元のPDFの保存を工程から外してしまう。電子取引データの保存の工程は最初から入れます
- 紙とデジタルが二重に残る:紙で届く請求書が残ると、仕組みと手作業の2つの流れができて管理が増えます。取引先にPDFでの送付を頼めるか、スキャンの手順をどうするかを、開発と同時に決めます
- 例外を全部作り込む:月に数件しかない例外の処理まで仕組みに入れると、開発費と保守の手間が増えます。件数の少ない例外は、最初から人が処理する設計にします
- 確認が形だけになる:数ヶ月たつと、担当者が候補を見ずに確定しがちです。修正した件数を月ごとに記録し、変化に気づける運用を仕組みに含めます
業種と部門で当てはめる
例:設備工事会社の経理部門で請求書処理を自動化する
ここからは、進め方を自社に当てはめるための例です。前提は架空のもので、当社の顧客の事例ではありません。
前提は次のとおりです。従業員は約80名。協力会社と資材の仕入先から、月に約300件の請求書が届き、約7割がメール添付のPDF、残りが紙。会計ソフトはクラウド型。経理は3名で、請求書ごとに内容を確かめ、工事番号を割り当てて会計ソフトに入力している。1件あたり約5分、月に約25時間かかっている。
| 工程 | 仕組みがやること | 担当者がやること |
|---|---|---|
| 1. 受信と保存 | 請求書用のアドレスに届いたPDFを集め、日付・金額・取引先の名前で保存し、索引の表に1行足す | 紙で届いた分をスキャンする(スキャナ保存の要件は税理士と確認) |
| 2. 読み取り | 取引先・登録番号・日付・税率ごとの金額・工事名を読み取る | 自信が低いと印の付いた項目を優先して確認する。導入の初めは印のない分も抜き取りで確かめる |
| 3. 照合 | 登録番号を公表データと照合し、発注データの金額と突き合わせる | 差異が出た請求書を、取引先や現場に確認する |
| 4. 仕訳の下書き | 過去の仕訳と取引先ごとのルールから、勘定科目・工事番号・税区分の候補を作る | 勘定科目と工事番号を確定する(最終の判断) |
| 5. 会計ソフトへの取り込み | 会計ソフトの取込みの形式で出力する | 取り込みの実行と、承認者への回付 |
| 6. 支払い | 支払予定表を作る | 承認と、支払いの実行 |
この前提なら、最初の範囲は工程1〜3(受信・保存・読み取り・照合)の1業務に絞ります。工程4〜5の工事番号の割り当てと会計ソフトへの取り込みは、1段目の運用で修正の傾向が見えてから2段目として範囲を決めます。紙で届く約3割は、取引先にPDFでの送付を頼めるかを先に確かめ、残る分のスキャンの手順を顧問税理士と決めます。
効果は、着手前に1件あたりの時間を2週間ほど記録しておき、導入後に同じ数え方で比べます。仮に1件あたりの作業が5分から2分になれば、月300件で約15時間の差です。ただし、どれだけ減るかは、請求書の書式の種類や確認に回る割合で変わるため、着手前には約束できません。
当社が合わないケース
当社のAI開発が合わないのは、次の場合です。
- 対象の作業が少なく、市販の会計ソフトやAI-OCRの標準機能で回る:開発は要りません。相談の場で、そうお伝えします
- 自動化する範囲と手作業に残す範囲を、社内で決める人がいない:要件整理メモを合意できないため、開発を始められません。先に社内の担当を決めるか、研修で使いどころを探すところから始めることをおすすめします
- 会計ソフトや基幹システムを全面的に作り替えたい:基幹システムの全面刷新や大規模なスクラッチ開発は、当社の範囲外です。大人数の開発体制を持つシステム開発会社が適しています
- 税務の判断や申告を任せたい:当社は税務の判断や申告の代行は行いません。顧問税理士にご相談ください
- 長期の保守を最初の開発費に含めたい:ミニ開発の動作フォローは納品後1ヶ月で、それを超える保守は別途のお見積もりです
相談のときに伝えるとよいこと
次のことを先に伝えていただくと、範囲と費用の話が具体的になります。完成している必要はなく、分かる範囲で構いません。
| 伝えること | 例 | 何に使うか |
|---|---|---|
| 月の件数 | 請求書・明細・経費精算の月あたりの件数、紙とPDFの割合 | 範囲と、どのプランに当たるかの判断 |
| 使っている会計ソフト・システム | 会計ソフトの種類、取込みの形式(CSVなど)、販売管理や発注のシステム | 連携の方法と、市販の機能で足りるかの判断 |
| 今の手順と時間 | 受け取りから入力・承認までの手順、1件あたりの時間 | 自動化する範囲と、効果を比べる基準 |
| 自社独自のルール | 取引先ごとの勘定科目、部門や案件の割り当て | 仕訳の下書きのルールの設計 |
| 社内の確認者 | 確定する人、承認する人、要件を決める人 | 確認の手順と、週次デモに出る人の決定 |
| 保存の扱い | 電子取引データの保存の方法、事務処理規程の有無、顧問税理士との相談の状況 | 保存の工程の設計 |
| 予算と時期 | 予算の上限、決算期や繁忙期 | 着手の時期と、段階の分け方 |
当社の初回の相談は30分・無料・秘密厳守です。市販の機能で足りると判断した場合は、開発をご提案せず、その理由をお伝えします。
商談で聞かれる質問
似た業種の事例はありますか
この記事で示す実証は、当社の自社サイトで行ったものです(自社サイトでの実証の記録)。500ページ超(2026年9月時点)のサイトの開発と運用、公開前に料金の表記やリンクを機械で検査して人が内容を確かめる手順、サイト上のAIチャットについて、どこを仕組みにし、どこを人に残したかを説明します。貴社の業務で同じ組み方が使えるかは、業務の流れを伺い、要件整理メモの段階で具体的にお示しします。
作業範囲はどこまでですか
当社が担うのは、要件整理メモの作成、仕組みの設計と開発、週次デモ、運用手順書の作成と引き渡しです。ミニ開発には納品後1ヶ月の動作フォローが含まれます。貴社にお願いするのは、元データとルールの提供(請求書のサンプル、過去の仕訳、取引先ごとのルール)、確認と承認を担う人の指名、会計ソフトなどのアカウントの用意、保存の規程の採否と税務上の扱いの確認(顧問税理士と)です。税務の判断と申告、基幹システムの全面刷新は範囲外です。
依頼する前に何を用意すればよいですか
最初の相談は、月の件数と使っている会計ソフトが分かれば始められます。そのうえで、次のものがあると範囲を早く決められます。
- 取引先名などを伏せた請求書のサンプル数枚(書式の種類が分かるもの)
- 今の手順と、1件あたりの時間の記録(1〜2週間分)
- 過去の仕訳データの一部と、取引先ごとの勘定科目のルール
- 会計ソフトの取込みの形式が分かる画面や資料
特に時間の記録は、導入後に効果を比べる基準になります。相談の前から数え始めておくことをおすすめします。
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出典
この記事で参照した外部の文書です。確認日はいずれも2026-10-05です。
- 国税庁「電子帳簿保存法対応!令和6年1月以降の電子取引データの保存方法について」(令和6年11月)(確認日:2026-10-05)。書面なら保存が必要な書類に相当する電子取引データを受領・交付した場合の電子保存の義務、原則のルール3つ(改ざん防止の措置・ディスプレイ等の備付け・日付・金額・取引先での検索)、検索に加えて必要な「範囲指定・組合せの検索」または「ダウンロードの求めに応じること」、基準期間の売上高が5,000万円以下の方等は検索の要件が不要になる場合、索引簿や規則性のあるファイル名による検索の方法、猶予措置
- 国税庁「電子帳簿保存法の概要」(確認日:2026-10-05)。電子取引の定義(電子メールにより取引情報を授受する取引で、添付ファイルによる場合を含む)と、所得税・法人税の保存義務者の保存義務(電子帳簿保存法7)
- 国税庁「インボイス制度について」(確認日:2026-10-05)。仕入税額控除に原則としてインボイスの保存が必要なこと、記載事項6項目、書類の名称を問わないこと、簡易インボイスで省略できる項目
- 国税庁 適格請求書発行事業者公表サイト「登録番号とは」(確認日:2026-10-05)。登録番号の構成(「T」+数字13桁)
- 国税庁 適格請求書発行事業者公表サイト「適格請求書発行事業者公表システムWeb-API機能」(確認日:2026-10-05)。利用者のシステムから登録番号を指定して情報を取得できること、利用規約への同意とアプリケーションID(発行無料)が必要なこと、インボイス用のアプリケーションIDは国税庁の審査を経て発行されること
- 国税庁「要件適合性に関する事前相談窓口」(確認日:2026-10-05)。受託開発・自社開発のシステムを対象にした、電子帳簿保存法の要件適合性の事前相談の窓口(所轄の税務署・国税局等)
- 国税庁「請求書等を帳簿に自動連携する仕組みに対応した制度が新設されました」(令和7年4月)(確認日:2026-10-05)。令和7年度税制改正で新設された制度の概要、重加算税の10%加重の適用除外は令和9年1月1日以後に法定申告期限が到来する国税が対象であること、国税庁長官が定める基準に適合するシステム(「Invoice JP PINT」「JP Self-Billing」のデジタルインボイス、または預貯金口座の決済データを新設の要件どおりに保存できるシステム)の使用と、新設の要件3つ、事前の届出が必要なこと